鑑定エピソード

私が経験した不良債権評価とは?

バブル崩壊後、不良債権の急増に伴い、不良債権が束にまとめられ「バルクセール」が実施されました。私は、金融機関の売手側アドバイザリー鑑定士として現地調査、評価から投資家との売却交渉まで担当しました。当時は、不動産価格の下落が激しく、評価水準もエンド価格の半値八掛と言われていました。投資家は少しでも安い価格で取得しようと、対象不動産が抱える欠点の粗探しに一生懸命で、不動産を愛する鑑定士としてはなかなか切ない時期でした。
主な投資家としては、リーマンブラザーズ、ゴールドマンサックス、メリルリンチ、ケネディクス、カーギル等の外資でした。

原野商法

函館の案件でした。構図を見ると、区画整然とした分譲地状で道路も綺麗に入っています。ところが現地へ行ってみると道路は曲がりくねった未舗装林道しかなく、原野商法で顧客を騙した土地であることが分かりました。函館は遠いので、現地も見ずに皆さん買ってしまったのですね。当然、評価額は二束三文でした。

スキー場が動く?

閉鎖したスキー場の評価もいくつかしましたが、函館の某スキー場は何とスキー場全体が地滑りしていて、リフトの鉄塔も少しずつ下へ動いていると言うものでした。これにはびっくり。

仙台の開発分譲地

現地調査をしたところ、綺麗に道路が作られ、区画も整然と造成されていました。これは問題ないなと思ったのですが、役所で確認すると開発区許可が出ていても「検査済」が未了との事。現地はすでに開発が完了して担保にも入っているとお話したところ、「開発許可にはいくつか条件が付されており、条件を満たさないと検査済は出せない。要するに建物を建てることは出来ません」との事。残念ながらずいぶんと良い評価をされていました。

伊豆のホテル

老朽化のために閉鎖されたホテル、旅館は沢山見ました。建物を建て替えれば、またホテルとして利用可能な土地も多いのですが、問題は解体費ですね。地方のホテル等は土地代に比べて建物代の比率が多いので、解体費用を負担すると採算が合わない。※.箱根や伊豆では近年のインバウンド需要により、建替が出来たホテル等もありますね。

閉鎖された東北地方郊外のホテル

そのホテルは既に閉鎖されていました。窓ガラスが割られ、内部もぐちゃぐちゃにされていました。土地値は安く建物解体費を控除すると赤字でした。評価額は当然「0」ですが、何と売却出来たのです。親族の方が買ったんですね。先祖代々の土地は何としても守りたかったのではないでしょうか。

 

遠くの田舎にある草茫々の雑種地は売れる?

今じゃ世界的に有名なリゾート「ニセコ」。ニセコの麓に位置する雑種地。利用価値がありません。私の評価も1百万円(価値の無い土地は原則として1百万円、バルクセールなのでその損する分は、他の物件に上乗せします)。ところがこの土地2百万円で売れました。買った人は誰?その人はこの土地を8百万円で売った売主でした。なるほど・・・

この山が大規模リゾート予定地?

山形県の山奥を大規模リゾート施設として開発予定。依頼者から素晴らしい開発図面を頂いて現地に赴くと、全く手付かずで何処が何処だか分からない。森林組合にお聞きしたところ、一山超えた向こうの山らしい。問題は、途中崖崩れがあって車は通れないとの事。止むを得ず遠くから山の写真を撮って帰りました。まあ、価値はありませんからね。

ひょっこりひょうたん島

宮崎県にひょうたん島そっくりの島がありました。地番は鳥島1番。法務局から公図を取り寄せると、ひょうたん島そっくりでびっくり。現地で撮った写真もひょうたん島です。国立公園内で建物は建てられないため誰も買わないだろうと思っていたら、ちゃんと売れました。釣りでもするんですかねえ。

     

開発出来ないマンション用地

千葉県市原市にマンション用地がありました。立派なマンション開発図面を頂き現地調査。さて、ここは市街化調整区域。あれ、建物建たないはずだけど。役所へ一応確認するとやはり建つはずが無い。立派な図面に騙されましたね。

     

破綻した病院

山形県の破綻した病院。管財人の方がしっかり保全していましたので、建物の管理状態はまあまあ。病院はこの頃所謂「積算価格」で評価していたので、最低競売価格は5億(7掛けして)。私の査定ではせいぜい1億程度。当然、落札者現れずずるずると。今は事業収益で評価するので、このような事が少なくなりました。